目次
1. FNAAとは2. 福島原子力事故関連情報アーカイブの収録内容
1.FNAAとは
「福島原子力事故関連情報アーカイブ」(FNAA)は、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(JAEA)が作成・運用を行う、福島第一原子力発電所事故に関する情報検索システムです。
JAEAでは、2011 年3 月11 日に発生した東日本大震災に起因する、福島第一原子力発電所事故への対応に係る研究開発の参考となる情報をインターネット上でアクセス可能な形で将来に渡って提供することを目的として、
国等の公的機関、学術機関及び研究機関、自治体、学会等のウェブサイトから発表された情報、及び学会等の口頭発表情報を幅広く収集・整理し、「福島原子力事故関連情報アーカイブ」(FNAA)として提供しています。
収録内容の詳細については福島原子力事故関連情報アーカイブの収録内容をご覧ください。
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1.1.FNAAの特徴
インターネット上の情報源への恒久的なアクセスの確保
福島第一原子力発電所事故に関する情報・データ等は、様々な機関のウェブサイト上で公開されていますが、
これらのインターネット上の情報源は、長期的なアクセスが保障されておらず、時間の経過とともに入手が困難になる可能性があります。
そこでFNAAでは、福島第一原子力発電所事故に関するウェブサイト情報を収集するとともに、
国立国会図書館が実施する「インターネット収集保存事業(WARP)」により、保存されている公的機関・民間のウェブサイトへリンク(URIが「warp.ndl.go.jp」で始まるもの)することにより、情報源へのアクセスを確保しています。
学会等における口頭発表情報の提供とフルテキストへのアクセス確保
福島第一原子力発電所事故に関しては、様々な学会・研究会等で関連する発表が行われています。
これらの発表情報は速報性等の面から有益である反面、その学会の会員・参加者以外の方にとっては入手が困難な情報であるという問題点があります。
FNAAでは、これらの学会における発表の要旨集・予稿集から、福島第一原子力発電所事故情報に関連する発表情報を収集し、書誌情報をFNAAに掲載するとともに、
各情報の詳細画面からJAEA図書館に文献複写申し込みを行うことが可能となっています。(オンライン文献複写の詳細についてはこちら)
また、許諾が得られた発表について、要旨集・予稿集掲載のPDFをFNAA上に掲載しており、全文の閲覧が可能となっています。(詳細はこちら)
IAEAが作成する分類を使用した体系的な情報の整理
FNAAでは、IAEAが作成した原子力事故情報を整理するための階層的な分類構造(Nuclear Accident Knowledge Taxonomy: IAEAタクソノミー)を使用してデータを体系的に分類しています。分類項目の概要はこちらをご覧ください。
関連する参考文献情報の提供
福島第一原子力発電所事故に関連する文献情報については、「3.11原子力事故参考文献情報」から提供を行っています。
原子力機構職員の発表については、「レポート」「論文」「口頭発表」から、過去のTMI等の原子力事故を含めた参考文献については「参考文献リスト」からご利用いただけます。
また「関連リンク集」では福島第一原子力発電所事故に関する情報源へのリンク集を、また、「国内外の報告書」からは国内機関の他、IAEA等海外の機関から刊行された事故に関する報告書の情報を提供しています。
1.2.FNAAの分類
FNAAでは、IAEAが作成した原子力事故情報を整理するための階層分類(IAEAタクソノミー)を使用してデータの分類を行っています。日本語版で表示される分類項目名は、原子力機構図書館で翻訳作成したものです。
また、IAEAタクソノミーに関する詳細についてはIAEAのテクニカルレポート"Nuclear Accident Knowledge Taxonomy"をご覧ください。
IAEAタクソノミーの分類項目(大項目)の概要は以下の通りです。
項目名 | 内容 |
---|---|
1 法律上、行政上の枠組み | 事故が発生した場所(国、地域)の全体的な原子力行政および規制システムに関する情報を含んでいます。
通常の運用および緊急事態時に適用された協定、法律、規制、行政組織、説明書等がこのトピックに分類されます。 |
2 原子力施設の状態 | 原子力事故の被害を受けた原子力施設の設計のほか、サイトの状態に関する情報や、運営機関の状況や運営上のルーチンに最も関わりの深い情報を含んでいます。 |
3 事故管理 | 事故の進展の過程における一連の活動に関する情報(知識)のうち、以下を含みます。
1.事象が重大事故へと深刻化するのを防ぐこと、2.重大事故の影響を緩和すること、および3.長期の安全かつ安定した状態を達成すること。 |
4 緊急事態準備と対応 | 燃料、炉心損傷、使用済み燃料プール等を含む緊急事態時における対応準備、事象が起きた原子力施設の防災レベルに関する情報を含みます。
分類3とは異なり、この分類は事故そのものの緩和ではなく、緊急事態時の状況を取り扱っています。 |
5 科学技術支援 | 研究開発機関・技術支援機関から提供される、原子力事故管理、緊急事態時対応および事故の影響の抑制等に関する科学技術支援についての情報を含んでいます。 |
6 事故経過 | 原子力事故(事象)の直接的および間接的な影響と影響を緩和するための手段の両方を含みます。 人々の健康、環境における影響だけでなく社会的および経済的な影響も含みます。 |
1.3.FNAAの活動に関する参考情報
- 稲垣理美ほか. 福島事故に係る情報の保存とその利用; 福島原子力事故関連情報アーカイブ(FNAA)を通した取り組み. 日本原子力学会誌ATOMOΣ. 2022, vol.64, no.12, p.686-690.
- 早川美彩ほか. 福島事故に係る情報の保存とその利用の取り組み; アーカイブの構築・運用と今後の課題. 日本原子力学会誌. 2016, vol.58, no.8, p.509-513.
- 熊崎由衣. ごぞんじですか?第102回福島原子力事故関連情報アーカイブ. 専門図書館. 2016, no.278, p.40-43.
- 米澤稔. 東京電力福島第一原子力発電所事故関連情報アーカイブ化への取組について . 専門図書館. 2015, no.273, p.23-27.
- 権田真幸ほか. 日本原子力研究開発機構図書館における福島原子力事故関連情報アーカイブ化への道のり. 情報の科学と技術. 2014, vol.64, no.9, p.357-360.
- 池田貴儀ほか. Contribution to the improvement of dissemination of grey literature; JAEA Librarys efforts for collecting, organizing and disseminating information on nuclear accidents.
The Grey Journal; An International Journal on Grey Literature. 2014, vol.10, no.1, p.7-13. - 中嶋英充ほか. 原子炉事故情報アーカイブの構築に向けて. 情報知識学会誌. 2012, vpl.22, no.4, p.344-353.
2.福島原子力事故関連情報アーカイブの収録内容
FNAAでは、公的機関及び研究開発機関等のウェブサイトから発信された、福島第一原子力発電所事故に係るウェブサイト情報,及び学会等における発表の要旨集・予稿集から福島原子力発電所事故情報に関連する発表情報を選定し、収録しています。
収録内容の概要は以下の通りです。
2.1.インターネット情報
FNAAでは、公的機関及び研究開発機関等のウェブサイトから発信された、福島第一原子力発電所事故に係るウェブサイト情報について、情報を収集しています。
主な収録内容は以下の通りです。
作成者 | 内容 |
---|---|
企業 | |
東京電力 | 事故時の状況・事故対応 事故調査結果 廃止措置等 |
政府機関 | |
首相官邸 | 事故時の状況・事故対応 |
内閣府 | 事故時の状況・事故対応 |
内閣官房 | 事故時の状況・事故対応 |
原子力安全委員会 | 事故時の状況・事故対応 ~2012年 |
復興庁 | 周辺地域の復興等 |
文部科学省 | 事故時の状況・事故対応 学校等への影響 |
厚生労働省 | 事故時の状況・事故対応 食品中の放射性物質への対応 |
農林水産省 | 事故時の状況・事故対応 放射性物質の検査、除染等 |
経済産業省 | 事故時の状況・事故対応 廃止措置等 |
原子力安全・保安院 | ~2012年 事故前の委員会・検討会等 事故時の状況・事故対応 通報資料等 |
原子力規制員会 | 事故時の状況・事故対応 東京電力との面談 事故後の委員会・検討会等 |
環境省 | 事故時の状況・事故対応 モニタリング 放射線と健康影響 放射性物質対策 除染、廃棄物管理(中間貯蔵) |
林野庁 | 放射性物質の検査結果 |
日本学術会議 | 事故後の提言・報告書 委員会記録等 |
研究開発機関 | |
日本原子力研究開発機構 | 事故時の状況・事故対応 モニタリング、除染等 環境影響の調査 |
原子力安全基盤機構 | ~2014年 規格・基準等 |
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 | 原子力損害賠償 廃止措置 |
原子力損害賠償支援機構 | ~2014年 原子力損害賠償 |
国際廃炉研究開発機構 | 廃止措置 |
放射線医学総合研究所 | ~2016年 事故時の状況・事故対応 モニタリング |
量子科学技術研究開発機構 | 事故時の状況・事故対応 モニタリング |
森林総合研究所 | 環境影響の調査 |
事故調 | |
東京電力(株)福島原子力発電所事故調査委員会 | 国会事故調 報告書及び資料 |
東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会 | 内閣事故調 報告書及び資料 |
2.2.口頭発表情報(ポスター発表を含む)
以下の学会における発表の要旨集・予稿集から、福島原子力発電所事故情報に関連する発表情報を選定し、書誌情報のデータを作成しています。
重要な学会については、今後追加していく予定です。
なお、アイソトープ・放射線研究発表会については、日本アイソトープ協会にご協力いただき、第52回以降の要旨集に掲載された要旨全文のPDFを本アーカイブ上に掲載しています。
また、環境放射能除染学会にご協力いただき、第5回以降の要旨集に掲載された要旨全文PDFを本アーカイブ上に掲載しています。
作成者 | 内容 |
---|---|
日本原子力学会 | 日本原子力学会春の年会、秋の大会予稿集(2013年~) より、福島第一原子力発電所事故およびその対処に関する発表を抽出し、掲載 セッション:福島第一原子力発電所事故関連、保健物理・環境科学、放射性廃棄物処理、原子力施設の廃止措置技術 等 |
日本保健物理学会 | 日本保健物理学会研究発表会講演要旨集(第46回~) より福島第一原子力発電所事故およびその対処に関する発表を抽出し、掲載 セッション:福島原発事故関連、防災、環境放射線 等 |
環境放射能除染学会 (環境放射能とその除染・中間貯蔵および環境再生のための学会) |
環境放染射能除染研究発表会要旨集(第1回~)より、福島第一原子力発電所事故およびその対処に関する発表を抽出し、掲載 セッション:セッション:減容技術、除染計画、除染技術、除染事例 等 【環境放射能除染学会のデータについて】アーカイブ中に含まれる環境放射能除染学会のデータの情報源となっている環境放射能除染研究発表会の要旨集については、査読が行われていません。 また、当該の要旨集は和文のみの表記のため、英文情報については、日本原子力研究開発機構研究開発推進部が翻訳・作成したものです。 |
日本アイソトープ協会 | アイソトープ・放射線研究発表会要旨集(第50回~) より福島第一原子力発電所事故およびその対処に関する発表を抽出し、掲載 セッション:東電福島第一原発事故関連 環境・生態、除染技術、動植物 等 |
高エネルギー加速器研究機構放射線科学センター/ 日本放射化学会 |
「環境放射能」研究会Proceedings(第14回~)より、発表を抽出し、掲載 当該ProceedingsはKEKよりフルテキストが公開されています。 |